知られざる郷土の味「モクズガニ」

モクズガニ

川の珍味「モクズガニ」。日本全国の川の中流~下流に棲むカニです。モクズガニの特長はなんといっても、ハサミにあるフサフサした毛。手袋をしているみたいであたたかそうですね。英語では Mitten crab (手袋ガニ)と呼ばれているそうです。

モクズガニ

しかしこのハサミ、とても凶暴なので油断しないでくださいね。川のなかで死んだ魚をハサミでちぎって食べますが、人の指も切れるくらいの力をもっています。とにかく活きがいいカニで、発泡スチロールのなかからでもよじ登って、逃げ足も速い。モクズガニを調理する際は、ロープを外さないほうが安全です。そんなやんちゃなモクズガニですが、味は抜群。モクズガニはカニみそがとってもおいしいんです。真っ二つに割って吸い付くと、カニみその甘い風味が鼻から抜け、くさみはまったくない。大きなハサミのなかにも身がギュッと入っていて、ちゃんと旨みがあります。あ、モクズガニは寄生虫がいるので場合があるので、しっかり火を通して食べてくださいね!

調べてみると「上海ガニ」の近縁種で同属異種。中国の上海ガニは高級料理として知られていますが、日本のモクズガニはあまり知られておらず、とれる地域のみの郷土料理となっているようです。愛媛県の各地では「芋たき」という伝統行事が開催されます。お月見をかねて河川敷で鍋を囲む、愛媛ならではの秋の風物詩。芋たきにはモクズガニが登場する地域もあり、四万十川とれたモクズガニを煮て、里芋や練りもの、こんにゃくなどと一緒に食すようです。山川の幸を満喫し、豊作を祈願する。日本ならではの良き風習です。

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