三陸産の魚介を原料に、豊富なアイデアと手間暇をかけた製法でオリジナリティあふれる商品に仕上げる「大弘水産」。同社のこれまでの歩みや地元・気仙沼への想い、数々の品評会で高く評価されている「カジキの燻製」などについて紹介します。
国内屈指の水産都市・気仙沼市
宮城県気仙沼市は世界三大漁場の一つ・三陸沖を控える、国内有数の水産都市です。天然の良港として知られる気仙沼漁港は、国内13港のみの特定第3種漁港に指定されており、24年連続水揚げ日本一(2020年時点)の生鮮カツオをはじめ、サンマ、メカジキ、サメなど、多種多様な魚介が水揚げされます。
2011年の東日本大震災により、気仙沼湾内の漁港や養殖施設、水産加工施設は甚大な被害を受けましたが、施設の修復、土地のかさ上げ、防潮堤の整備など復旧が進められ、2019年には新しい気仙沼市魚市場が完成。基幹産業である水産業の復興へ向けた取り組みが行われています。
気仙沼漁港
唯一無二のおいしさを作り出す「大弘水産」
1976年に気仙沼で創業し、長年培ってきたノウハウを活かし、三陸産のカジキ、サバ、ブリなどの加工を手掛けてきた大弘水産。同社の専務取締役 小野寺大輔さんにお話しを伺いました。
こうして作られる商品は東北を中心に関東や関西にも出荷され、業務用の問屋をとおしてホテルや結婚式場などで提供されています。
震災では大弘水産も大きな被害を受け、工場は全壊。直後には一時、休業を迫られました。「設備機器の修復や新しい工場探し、補助金の申請など、業務再開に向けて、その時々でやれることを地道にやっていました」
その後、同社は2012年に川口町から現在の「母体田地区水産加工団地」へ移転するなど生産体制を整え、2013年2月から出荷を再開しました。「震災後は、より高付加価値の商品づくりにシフトしています。少しでも注目を集められるように、他にはない新しいおいしさを目指し、試行錯誤を重ねてきました。そういえばモウカザメの燻製を作ったこともありましたね。中国地方などでは人気もあったのですが、エッジが効きすぎていて結局ダメになりました(笑)」
オリジナリティあふれる商品の中には、気仙沼の水産業を守り続けるために作られたものも多くあります。「たとえば風評被害によって余ったホヤを活用できればと考えて、商品を作ったこともありました。他にもマグロの切れ端を使ったり、地元の水産物や限りある原料を大切にしていきたいと思っています」
また「震災前に比べて、商談会や展示会などにも積極的に出展しています」と小野寺さん。実際に商品を多くの人に味わってもらうことで、新たな取り引きも増えたと話します。
「展示会などで試食を勧めると『こんなの食べたことない!』と驚かれることも多く、徐々に会社や商品の認知度も高まってきたと感じています」
今回はバラエティー豊かな商品ラインナップの中から、「かじきの燻製」のブロックとスライスをご紹介します。
小野寺大輔専務取締役
桜チップの香ばしさがやみつき!「かじきの燻製」
全国水産加工品総合品質審査会で「農林水産大臣賞」、宮城県水産加工品品評会で「農林水産大臣賞」「水産庁長官賞」を受賞するなど、数々の品評会で高く評価されている「かじきの燻製」。
「加工品として味噌漬け、粕漬けにした商品はありましたが、燻製にしたのは弊社が初めてかもしれません」。
原料には、年間を通して気仙沼で水揚げされるマカジキを使用しています。ピンクの色鮮やかな身は脂が少なく、あっさりと淡泊なおいしさが特徴で燻製とも相性抜群。桜チップでスモークされたマカジキの香ばしい風味が存分に楽しめる一品です。商品はブロックとスライスが用意され、それぞれメニューや調理の仕方によって使い分けることができます。
マカジキの切り身
冷凍マカジキの燻製(ブロック)
ブロックは「1〜2cmぐらいの厚さに切ると、燻製の香ばしさがしっかり感じられます」と小野寺さん。「そのままソテーにしたり、オリーブオイルで炒めて岩塩をパラッと振りかけたり、サイコロ状にしてサラダにトッピングするだけでも十分ですね。切り方や厚さによって食感や味わいが大きく変わるので、好みに合わせてアレンジしてお使いいただけます」
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かじきの燻製 スライス
4mmの薄さに切りそろえられたスライスは、バゲットやサンドイッチといった手軽に食べることができるメニューにぴったりで、パーティーなどにも最適です。「展示会で試食された方からは『生ハムみたい!』とよく言われますね。カルパッチョや手鞠寿司にするのもおすすめです」。スライスは一段ずつシートで仕切られているため、使いたい分だけを使うことができ、盛り付けも簡単です。
小野寺さんは「私はブロックをサイコロステーキのようにして、レモンサワーと食べるのが好きですね」と笑いました。
かじきの燻製 バゲット
かじきの燻製 スパゲティ
「かじきの燻製 スライス」は魚ポチ掲載はございません。
新型コロナウイルスの影響に悩む、飲食店の力になるために
昨今の新型コロナウイルスの感染拡大で、業務用商品の取り引きが減少したという大弘水産ですが「私も食べたり飲んだりすることが大好きなので、微力ではありますが、同じように新型コロナウイルスの影響で悩んでいる飲食店の力になりたいと思っています」と小野寺さん。「今後は飲食店に合わせて、商品の分量変更などにも柔軟に対応していくつもりです」と、水産業、飲食業の将来を見据えています。