【三陸・常磐の水産加工品特集2022】青森の上質な食材を、手軽に味わえる逸品に。「宝成食品」

八戸の漁港

蟹をはじめ、多彩な海産物の加工から卸、流通まで一貫して行っている、八戸の「宝成食品」。創業2年後の被災にもめげず、「お客様のニーズに応える」商品づくりで立ち上がった同社の歩みや、食品バイヤーたちに評判の味わいについて紹介します。

 

漁港が人々の暮らしを築いてきた八戸

 

全国有数の水揚げ量を誇るイカやサバなど、四季を通じて多種多様な魚介類が水揚げされる八戸港。その一角、全長約800mの岸壁では毎週日曜日の早朝に、国内最大級の朝市「館鼻岸壁朝市」が開催されています。所狭しと建てられる300ほどの店頭には八戸自慢の鮮魚をはじめ、干物などの海産物、地元で獲れる野菜といった産品が並べられ、多くの人で賑わい、まさに暮らしと漁港が密接につながっている地域です(新型コロナウイルスの影響により開催状況は変更の場合あり)。

 

その朝市が開かれる岸壁からわずか200mほどの位置に、今回ご紹介する「宝成食品」はあります。

舘鼻岸壁朝市
館鼻岸壁朝市 提供:VISITはちのへ

 

他にはない、こだわりの加工品を手掛ける「宝成食品」

 

「お客様のニーズに応える」を企業理念に掲げる「宝成食品 株式会社」。「お客様からの依頼に『できません』と返答することはありません!」と快活な口ぶりで話してくれたのは、同社の代表取締役社長・河村隆衛(かわむら たかえい)さんです。これまで八戸一筋の河村さんは、大学卒業後、地元の大手水産加工会社に勤務。加工の現場を経験した後、その人柄を見込まれて営業部門へ配属され、結果を残していました。「ただ、自分の思うような営業をすることができず、やり方次第でもっと商品の魅力を広げられると考え、独立しました」。

 

2009年に宝成食品を創業した時、河村さんは26歳。「今振り返ると、恐いもの知らずでしたね」と笑う河村さんは前職の経験を活かし、蟹の加工品などを展開しましたが、その2年後の2011年に東日本大震災が発生。OEMを依頼していた陸前高田と気仙沼の加工場が甚大な被害を受け、原料や商品が流失してしまいました。「大きな損失が発生しましたが、どの自治体からも罹災証明が下りず、補償が受けられないなど、とても大変でしたね」。その後、加工場の復旧の目処が立たなかったこともあり、河村さんは自社加工に転換する決断を下しました。

 

河村隆衛 代表取締役社長
河村隆衛 代表取締役社長

 

業界内で信頼を築き、多くの相談が舞い込むように

 

自社加工に乗り出した宝成食品。河村さんは「価格競争では大手に敵わないので、付加価値のある商品づくりを意識しました」と説明します。その付加価値こそが、徹底的に「お客様のニーズに応える」ことでした。「大手がやらない手間のかかる商品づくりも、その一つです。例えば量販店向けに蟹の殻を剥いて個包装にすることでお客様や消費者の方に喜んでもらえるよう、固定観念に縛られない商品を作っています」。

 

こうした姿勢やその味わいは徐々に評判となり、現在では東北だけではなく全国の食品バイヤーから、さまざまな相談が舞い込むほどになっています。それでも河村さんは慢心することなく、商品づくりに打ち込んでいます「原料の状態や消費者の変化など、同じ年は一つもありません。これからも社会の変化にいち早く対応して、おいしい食品を作っていきたいですね」。

 

今回は量販店の要望から生まれたほっき貝の加工品2点と、素材と使いやすさを追求した蟹味噌を紹介します。

 

名産地・北浜のホッキ貝を堪能できる「青森県産ほっき貝スライス」

 

「これからは、より地域の食材を使用していきたい」と語る河村さん。その一つが、今回ご案内する三沢・北浜産ほっき貝の加工商品です。栄養豊富な八甲田山の雪解け水が奥入瀬川を巡り、注ぎ込まれる北浜の海はほっき貝の名産地。しかし、砂抜きや殻の処理など手間がかかることから、「これまでほっき貝を加工する業者はなく、活きたまま流通するのが一般的でした」と河村さん。

 

「青森県産ほっき貝スライス」は、河村さんが「ほぼ生の状態を保つために、試行錯誤しました」と振り返る一品。その工程は、市場で競り落としたほっき貝を新鮮なまま工場へ。スピーディーかつ丁寧に処理を施し、適切な湯温でボイルすることで、活ほっき貝のような味や食感に仕上げます。ほんのり赤みがかった身は美しく、高級寿司ネタに最適。その味わいは河村社長が「海外産のものとは比較になりません」と胸を張るほど。身が大きいため食べ応えが十分で、コリコリとした歯ごたえ、濃厚な旨味を堪能することができます。

珍しいメニューでは、ほっきカレー、ほっきピザに使われることもあるそうです。

湯上り北寄貝(スライス)
青森県産ほっき貝スライス

 

ほっき貝の寿司
ほっき貝の寿司

 

▼魚ポチ商品掲載ページ
青森県産ほっき貝スライス 10枚入
※欠品などにより掲載がない場合がございます。

 

豪華な一品を手軽に「わっつりかにみそ(チューブ)」

 

「わっつり」とは青森の南部弁で「すごい」という意味がありますが、その「わっつり」という言葉を使った「わっつりかにみそ(チューブ)」は、素材と使いやすさを追求、蟹を得意分野とする河村さんが、ずばり「うまいです!」と言い切る商品です。

一般的な蟹味噌の加工品は紅ズワイガニが使われることが多いそうですが、この商品では濃厚な蟹味噌本来のおいしさが楽しめるように本ズワイガを使用しています。と河村さん。チューブ型で扱いやすく、軍艦巻きや、甲羅に蟹の身を乗せた甲羅盛など、豪華なメニューも手軽に作ることができます。

 

甲羅盛り
甲羅盛り

 

▼魚ポチ商品掲載ページ
わっつりかにみそ(チューブ)300g
※欠品などにより掲載がない場合がございます。

 

「これからもお客様と一緒に」。河村社長の想い

 

現在、河村さんは経営はもちろん、商品企画や品質管理、営業、繁忙期には加工まで担当。同社が手掛けている寿司店に板前として立つこともあるそうです。「そのために築地で寿司作りの修業をしました。それぞれの現場を知っておかないと、意見も言えませんからね」。

 

こうしてあらゆる現場を体感する河村さんだからこそ、水産業の将来へ人一倍、想いを巡らせています。「この魅力的な魚食文化を守り、若い世代に繋げるためにも業界の3Kのイメージを変えたいと思っています」。実際に同社では、臭いが発生しやすい生処理などは専門の業者に任せるといった取り組みを進めているそう。河村さんは「この仕事を若い人に選んでもらいたいですし、餅は餅屋で、その方が商品の質も高まります」と説明しました。

 

河村さんは最後に「商品づくりについて、何でも相談してほしい」と強調しました。「どんな難しい要望でも挑戦することを大切にしています。それにお客様と新しい商品を作り上げることが何よりのやりがいです。ぜひ、一度ご連絡ください!」。

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