ゼロからマーケットをつくり、海のスーパーフードを全国へ。「岩手アカモク生産協同組合」

海藻の中でも群を抜く栄養価を誇り、さまざまな健康効果が期待される海のスーパーフード“アカモク”。「岩手アカモク生産協同組合」では、かつて捨てられていたアカモクにいち早く目をつけ、研究と商品化を進めてきました。そんな同組合の歩みや多彩なジャンルから評判の商品などについてご紹介します。

 

三陸沿岸の栄養豊富な水が良質なアカモクを育む

海・山・川が一体となり、豊かな自然が広がる岩手県宮古市。宮古湾を含む三陸沿岸は、複雑な入り江が連続するリアス海岸となっており、森林から流れ込む栄養豊富な水は、上質なワカメやカキなどを育みます。

この恵みの海がもたらす海産物の中で、近年注目を集めている海藻が「アカモク」です。ほかの海藻と比べて栄養価が高いため、“海のスーパーフード”といわれており、岩手は全国屈指の産地となっています。

今回は宮古湾の最奥部にほど近い、高浜漁港の側に工場を構える「岩手アカモク生産協同組合」で、代表理事の髙橋清隆(たかはし きよたか)さんに話を伺いました。


アカモクが育まれる三陸沿岸の穏やかな海

 

いち早くアカモクの事業化に挑んだ「岩手アカモク協同組合」

「岩手アカモク生産協同組合」ではアカモクの商品化をはじめ、さまざまな大学と連携し、アカモクの研究などを行っています。同組合が設立されたのは1998年。それまで髙橋さんの父親はわかめ問屋をしていましたが、漁港とスーパーが直接やり取りをする“問屋飛ばし”や中国産ワカメの輸入量増加を背景に、新しい事業の必要性を感じていたといいます。

そんな時に目を引いたのが、秋田ナンバーのトラックが荷台いっぱいに山田湾のアカモクを詰め込んで走り去る光景でした。

「後から調べてみると、秋田では江戸時代からアカモクが“ギバサ”としてソウルフードのように食べられていることがわかりました。また、ちょうどその頃、新聞でアカモクの栄養面について報道されたこともあり、健康をサポートする食材として大きなポテンシャルがあると感じました」。


髙橋 清隆さん

こうして設立された同組合ですが、当初はアカモクの研究に多くの時間を費やしたといいます。「ワカメや昆布を扱っていたので、アカモクもすぐ商品化できると思っていたのですが、アカモクは雄と雌が分かれていたり、うまくネバネバ感が出なかったりと、品質の安定化を図るために長い時間がかかりましたね」。

研究と試作を繰り返し、ようやくアカモクを商品化できたのは、設立から2年半後のこと。しかし、カキの養殖棚などにまとわりつく邪魔ものとして廃棄されることが当たり前だったアカモクは、地元の岩手で営業をかけてもまったく相手にされませんでした。

そこで髙橋さんは、岩手から全国へ広めていくことを想定していた販売戦略を転換。当時2005年頃は、商品の差別化が重視され始めていたこともあり、地域を問わずニーズのある所へ直接コンタクトを取ることに。髙橋さんはリストアップした首都圏の飲食店などに連絡を取り、サンプルを送付。商品は高い評価を受け、徐々に取り扱ってくれる店舗が増えていきました。

こういった動きを見て、2009年には岩手県が地域の食材として積極的なPR活動を展開。ようやくアカモクが食材として認められるようになりました。


かつて“邪魔モク”といわれていたアカモク

 

震災後も、地域のことを最優先に

こうして順調に販路を開拓していった岩手アカモク生産協同組合を襲ったのが、2011年の東日本大震災。宮古にある工場は無事でしたが、山田町にあった事務所は津波で全壊。そして、三陸沿岸のアカモクが流失してしまいました。


カキ漁師が収穫するアカモク

商品を出荷できるようになったのは2014年。アカモクは養殖されていないため、今後の収穫量を見据えて、十分に自生するのを待ってから再始動しました。また、再始動まで時間を要したのは、髙橋さんの地域に対する想いもありました。そのことについて髙橋さんは「経営者としては失格です」と振り返ります。

「ほかの産地のアカモクを使えば、もっと早く出荷できましたが地元のアカモクにこだわりました。またアカモクを収穫してもらっていたカキ漁師の方々の本業が軌道に乗るのを待っていたので時間がかかってしまい……。ただ地域のことを考えると、どうしても自分たちのことだけ優先するわけにはいきませんでしたね」。

こうして長い時間が空いたこともあり、取引は「ゼロに戻ると思った」という髙橋さんですが、商品の品質の良さやニッチな分野ということもあり、いわゆる“産地の鞍替え”は起きませんでした。また、健康意識の高まりや食材の選別などの機運がより高まっていたこともあり、数年後には取引も震災前と同じ規模に戻ったといいます。「『待ってたよ!』と仰ってくださる方もいて、すごくうれしかったですね」。

さらに近年の新型コロナウイルスの感染拡大で、取引先の4割が外食業界を占めていた同組合は大きな打撃を受けましたが、社会活動の再開に伴い、「2023年に入って、注文が増えてきました」と髙橋さん。大手回転寿司チェーンでの採用が決まるなど、さまざまなジャンルの飲食店から問い合わせが舞い込んでいます。

 

ヘルシーに健康をサポートする「冷凍三陸湯通しアカモク」

今回ご紹介する「冷凍三陸湯通しアカモク」で使用しているアカモクは、山田湾など岩手県産のもの。その中でも最も食感が良くなる3月〜5月にかけて収穫したアカモクのみを使用し、同組合ならではの技術でネバネバ、シャキシャキの食感と爽やかな礒の風味を引き出しています。


冷凍三陸湯通しアカモク 30g × 3連パック

アカモクは海藻の中でも群を抜いて、食物繊維などの栄養が豊富です。例えば免疫力を高めるフコイダンという成分はモズクの2倍以上を誇り、さらに脂肪燃焼効果のある成分も含まれています。特に山田湾のアカモクは他の産地に比べて栄養価が高いという実証結果が出ています。

髙橋さんは「ヘルシーにおいしく、野菜では満たされない栄養を取れるアカモクは、海鮮丼などはもちろん麺類や揚げ物など、和洋中どんな料理にもぴったりです」とおすすめしてくれました。


ウニ丼にトッピング


素麺などのつけ汁にもぴったり

▼魚ポチ商品掲載ページ
冷凍三陸湯通しアカモク 30g × 3連パック
冷凍三陸産ボイルアカモク刻み 250gパック
※欠品などにより掲載がない場合がございます。

 

もっとアカモクをメジャーな食材に。

これまで髙橋さんは全国各地に赴いて、独自開発したアカモクの加工法を広めるなど、その普及に努めてきました。「『自分たちの首を絞めることになるのでは』という声もありましたが、元々市場がない商品なので、まずはアカモクの認知度を高めることを最優先に考えました。その第1フェーズの目標は達成できたと捉えています」と髙橋さんは語り、今後の目標はアカモクをよりメジャーな食材にすることだと続けました。

「アカモクをワカメやひじきといった食材のように常食にしたいと考えています。またアカモクの持つ可能性を示すために、多彩な商品とのコラボレーションなどを積極的に図っていくつもりです」。


アカモクを使ったさまざまな商品

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