全国有数の港町・石巻で笹かまぼこやさつま揚げなどの練り物を中心に生産している「水野水産」。同社の復興までの歩みや地域の水産加工業にかける想い、魚ポチで取り扱っている商品などについて紹介します。
国内屈指の練り物のまち・石巻
世界三大漁場の一つ・金華山沖を有する石巻市。この港町は、国内屈指の練り物のまちでもあります。その歴史は古く、130年ほど前から練り物がよく食べられていました。また戦後の高度経済成長期には、石巻漁港に大量のスケトウダラが水揚げされ、練り物を生産する会社が数多く誕生しました。
昨今は東日本大震災や社会情勢の影響を受け、苦難の時期が続いていますが、地域の会社は希望を持って商品づくりに励んでいます。その中の一社、「水野水産株式会社」の水野仁(みずの じん)さんに話を伺いました
原料にこだわった練り物を手掛ける「水野水産」
石巻市魚町—。地名から、海との深い関係を窺い知ることができる地域に本社工場を構えている「水野水産株式会社」。1940年に創業された同社は、1951年から練り物の生産を開始しました。水野さんは「現在、社長を務めている母は夢の中でちくわに追いかけられたそうです。練り物一筋でがんばってきた証だと思います」と笑い話を交えながら、会社の歴史を説明してくれました。
昔から大きく作り方や味を変えていない同社の練り物。その特徴の一つが、原料へのこだわりです。「安心して召し上がっていただけるよう、すり身は国産の原料を多く使用し、添加物などはなるべく使用しないように気を付けています」。そのため同社の商品は、健康志向の高い食材宅配サービスなどでも人気です。
2011年の東日本大震災では、水野水産も甚大な被害を受けました。本社工場には津波が押し寄せ、1階が浸水。原料やかまぼこのラインなど「全てダメになりましたね」と水野さんは振り返りました。
復旧に取り組む際には従業員と共に、国内外から多くのボランティアが訪れたそうで、水野さんは「大分のかまぼこメーカーの方が、住み込みで手伝ってくれたり、今でも皆さんにはとても感謝しています。おいしい商品をつくることで恩返しをしていきたいですね」と想いを明かしました。
水野水産が商品の製造を再開できたのは、震災から1年2カ月後。まずは2階に生産ラインがあった、さつま揚げから。そして、商品を本格的に製造できるような体制が整ったのは、2013年になってからのことでした。
地元・石巻を盛り上げるために、多彩な商品を展開
石巻発祥の「牡丹焼きちくわ」の再現に取り組むなど、約80年受け継がれてきたノウハウをベースに、バラエティ豊かな練り物製品を展開している水野水産。震災後からは、大きなダメージを受けた石巻、そして地域の水産業を盛り上げようと、県内の大学と連携して「石巻魚町シリーズ」を展開しています。
同シリーズでは、厳選した国産素材を使い、地域の食品メーカーとコラボレーションするなど、石巻らしさを活かした商品がラインナップされています。その中の一つ「石巻おでん」は、地域でつくられる練り物や食材、出汁などが堪能でき、人気テレビ番組で取り上げられて話題に。水野さんは「放送直後は、北は北海道から南は九州まで全国から問い合わせがありました」と話しました。
素材がたっぷり詰まった「いか入りさつま揚げ」「たこ入りさつま揚げ」
水野水産の看板商品の一つである、さつま揚げ。「いか入りさつま揚げ」「たこ入りさつま揚げ」の各商品は、北海道産スケトウダラのすり身に、それぞれアカイカの身、たこの足がたっぷりと配合されています。
おでんや煮付けの具材といった定番はもちろん、フライパンやオーブントースターでさっと焼くと香ばしくなり、おつまみに最適です。
また、それぞれのさつま揚げを焼き、てりやきのタレを塗った「さつま揚げバーガー」は、ヘルシーでありながら食べ応えがある一品でおすすめです。
▼魚ポチ商品掲載ページ
冷凍いか入りさつま揚げ 10枚入
冷凍たこ入りさつま揚げ 10枚入
※欠品などにより掲載がない場合がございます。
柔らかくて食べやすい「チーズ小笹かまぼこ」
北海道産スケトウダラのすり身に、プロセズチーズを配合し、一口サイズに焼き上げられた笹かまぼこ。甘めの味付けで食感は柔らかいため、「仙台の笹かまぼこよりも食べやすく仕上げています」と水野さん。
解凍して、そのまま。またフリッターや磯辺揚げでもおいしくいただけます。野菜とテンメンジャンをサンチュで巻いた「小笹かまぼこの野菜包み巻き」など、アイデア次第でメニューが広がります。
▼魚ポチ商品掲載ページ
冷凍チーズ小笹かまぼこ 1kg
※欠品などにより掲載がない場合がございます。
厳しい現状でも、練り物の可能性を模索
昨今の燃料費高騰や世界情勢の悪化を受けて、「練り物づくりには難しい時期が続いています」と水野さん。その現状を打破し、地域の練り物の歴史を紡いでいくためにも、これまでの伝統を守りながら、固定観念に縛られない商品づくりにも注力したいと意気込みます。「例えばこれまで蓄積した技術を活かし、石巻市内の味噌醤油メーカーとコラボレーションした商品などを発売しています。これからも地域内外のメーカーさんと手を組んで、新しい商品を作っていくつもりです」。水野さんは厳しい状況の中でも挑戦を続け、練り物の新たな可能性を模索しています。