“育てる・獲る”漁業から鮮魚出荷、加工・販売まで一貫して手掛けている、岩手県大船渡市の「鎌田水産」。国内最多を誇る大型サンマ漁船や7年前に竣工した新工場といった生産環境とともに、長い歴史の中で培ってきた地域からの信頼をベースに、全国へ商品を展開する同社について紹介します。
地域に根差し、水揚げから加工、販売までワンストップで実現
森林と海が複雑に入り組むリアス式海岸が続く三陸沿岸。その一角、尾崎岬の付け根付近に位置する蛸ノ浦漁港のすぐそばに鎌田水産株式会社の本社工場はあります。
同社の歴史は1964年に創業者の鎌田和昭氏が家業だった漁業の後を継ぎ、カキ、ホタテ、ワカメの養殖に従事したことから始まります。その後、1978年には法人化、1990年には大船渡市の特産物にもなっているサンマの鮮魚出荷を開始。世界三大漁場の一つ・三陸沖で獲れる新鮮な海産物、ホタテやワカメの養殖など“育てる・獲る”漁業を中心に、地域に根差しながら規模を拡大してきました。特に大型サンマ漁船は国内最多となる6隻を所有し、会社としてのサンマの水揚げ量は国内トップを誇ります。
また、同社では鮮魚の水揚げや加工業務に加え、製氷工場、冷蔵庫、貨物運送業なども展開。地域周辺だけではなく、豊洲市場などをはじめ、全国に三陸の海の幸を届けています。
「初さんま祭」を開催するなど、大船渡の復興に貢献
2011年の東日本大震災で同社は工場の一つが全壊し、その他の工場や事務所でも浸水などの甚大な被害を受けました。しかし、同年7月には商品を出荷できる体制を整えたといいます。
今回、同社についてお話しいただいた業務課長・金貴之さんは「機械が使えなくなり大変な状況ではありましたが、雇用などを守るためにも地域の中でもいち早く復旧に向けて動き出しました」と語りました。
2013年からは大船渡の復興にさらに寄与するため、同社が中心となり、ユニークな名称のイベント『初さんま・うに・アワビ・帆立・かき・ホヤ・わかめ祭』を開催しています。金さんは「震災直後から全国の多くの方のお世話になりました。おいしい商品と地元の元気な姿をお届けすることで、みなさんへの恩返しになればと思っています」と、イベント開催の意図を教えてくれました。
充実した生産環境で、素材が引き立つ商品づくりを展開
鎌田水産では海産物の加工・販売にも力を入れています。震災後にはHACCPに対応した第二工場、さらに大船渡工場が稼働。合わせて4つの工場でパブリック・ブランド商品をはじめ、さまざまなニーズに対応する商品を作っています。「青魚を中心に、鮮度と品質に優れた三陸の素材が引き立ち、子どもから高齢者まで誰でもおいしく食べられる商品を目指しています」と金さん。品質管理やトレーサビリティ管理にも万全を期した環境下で商品づくりが徹底されています。
また、2014年には「漁師の魚屋」、2017年には「海の幸ふるまいセンター」という2つの飲食店をオープンし、絶品の海鮮料理などで地元の人たちや観光客の方を喜ばせています。「弊社で養殖したもの、水揚げしたものを直接お客様にお届けしたいという思いで営業を始めました。これも地域や全国の方々への恩返しの一つだと考えており、飲食店や商品づくりを行う上で『我々がみなさんのためにできることは何か?』と常に考えています」と金さんは話してくれました。続いて、魚ポチで取り扱っている鎌田水産の商品についてご説明します。
大ぶりでプリプリとした食感が堪能できる「むきホタテ」「ホタテ貝ひも」
「むきホタテ」は、時間も手間もかかる「耳吊り」と呼ばれる養殖方法で、岩手ならではの大きなサイズに育てられたホタテを使用。「豊洲市場などでは、大きすぎて売りにくいサイズですが、肉厚でプリプリとした食感が堪能でき、食べ応えもばっちりです!」と金さん。解凍するだけで、和・洋・中、さまざまな料理に使用することができます。
また、同じ養殖方法で育てられた「ホタテ貝ひも」は雑味がなく、やみつきになるコリコリした食感と濃厚な旨みを楽しめる一品です。
獲れたての味わいが楽しめる「塩水ウニ」
「塩水ウニ」には、味が繊細といわれる、天然のキタムラサキウニを使用。ミョウバンを使わずに、海水と同じ塩分濃度で保存しているため、ウニ本来の爽やかな風味や旨みを味わうことができる逸品です。
最後に金さんに魚ポチをご覧の皆さんへメッセージをお願いしました。金さんは「まだまだ、三陸には魅力的な魚介類がいっぱいあります!それらをさまざまなかたちで、安定供給できるのが弊社の強みです。『鎌田水産に頼めば何とかなる』と思ってもらえるような存在になるよう、これからもおいしい商品づくりに努めてまいりますので、ぜひよろしくお願いいたします」。