冬には厳しい環境になることで知られる青森の津軽海峡。潮の流れが速く、激しい荒波の海で育てられているブランドサーモンが“海峡サーモン”です。今回は、この無謀とも思われたサーモンの養殖に成功するまでの歩みや、その上質な味わいを活かした商品について、養殖に当初から参加した北彩漁業生産組合の濵田さんに伺いました。
漁業者7人でサーモンの養殖に挑戦
北海道と青森県に挟まれる津軽海峡に面した青森県むつ市大畑町。この港町で古くから盛んだったイカ漁が大きな不漁に見舞われたことをきっかけの一つとして「獲る漁業」から「育てる漁業」へ舵が取られ、サーモンの養殖について検討が始まったのは1989年のことでした。
「漁業者7人で『大畑さけます養殖漁業研究会』としてスタートしました。当時、この地域ならではの特産物が求められていて、宮城の銀鮭などが人気だったことからサーモンの養殖に着目しました」。そう説明してくれたのは、海峡サーモンの養殖を手掛ける北彩漁業生産組合の組合長・濵田勇一郎さん。当初から養殖に挑戦した7人のうちの一人です。
しかし、養殖が軌道に乗るまでの道のりは順風満帆とはいきませんでした。当初、津軽海峡での養殖について、多くの漁業関係者が懐疑的に捉えていました。「三方が海に囲まれた青森の外海では『養殖は無理だ』と、散々言われましたね」と濵田さん。それでも地域に根ざして、長年活動してきた漁業者ならではの知見を活かし、養殖に乗り出しました。「潮の流れが速く、波が荒い海の中でも、比較的穏やかな場所などを私たちは知っていたので、港内と沖合の2カ所で養殖を始めました」。
養殖に挑み続けるエネルギーだった“意地と感謝”。
「稚魚から餌や生け簀など、本当にすべて手探りの状態でした」と笑う濵田さんですが、1年目にサーモンを出荷。評価は非常に高く、確かな手応えを得ることに。しかし、2年目には荒天により港内のサーモンが全滅。これ以降、沖の生け簀のみでの養殖となりました。
「大変な状態でしたが、それでもみんなで力を出し合って養殖を続けました」と何とか体制を立て直した濵田さんたち。それ以降も稚魚の管理や餌の配合、餌やりの頻度、生け簀の改良など試行錯誤を繰り返し、さらに加工環境の整備や、市場から小売への販路変更も功を奏し、養殖が軌道に乗り、全国の料理人にまで高く評価されるように。2003年には生産体制を整備するため、大畑さけます養殖漁業研究会を解散して、北彩漁業生産組合を設立しました。
ところが津軽海峡の厳しい自然が、濵田さんたちを再び襲います。2005年、爆弾低気圧の影響で生け簀が大破し、大きな被害を受けました。「今だから話せますけど、さすがに心が折れかけて涙が出てきましたね」と振り返る濵田さん。それでも養殖に挑み続けたのは「養殖に否定的だった人たちを見返したい」という意地、そして地域の人々の期待に応えるためでした。「その他にも多くのトラブルがありましたが、その頃には地元の人たちにも海峡サーモンが知られていて。後押しや応援を受けることも多くありました。そんな人たちを裏切るようなことはしたくなかったんです」。そんな信念で再び養殖に打ち込み続けた濵田さんたち。2015年には、海峡サーモンの商品開発・加工・販売部門として株式会社北彩屋を設立。一貫した生産体制を実現し、質の高い海峡サーモンを全国に送り届けています。
津軽海峡の沖合3km、水深25mの生け簀で、潮が速く、冷たい荒波に揉まれて育つ海峡サーモンは、運動量が多くなり身が引き締まります。そのためあっさりとした質の良い脂が乗り、旨みが凝縮。ぷりっとした大きな身とともにサーモンらしい味わいを堪能することができます。
「海水に移すまでに2年間幼魚を淡水で育てたり、餌の原料を徹底管理したりと手間暇を掛けて養殖しています。その分、国外産のサーモンなどと比べて値段は高くなりますが、そのおいしさの違いは食べてもらえばわかります」。そう濵田さんが自信を見せる海峡サーモン。そんな自信をみせる海峡サーモンの魚ポチで取り扱っている商品についてご紹介します。
お湯を注ぐだけで絶品!「海峡サーモン だし入り茶漬け 熟成塩漬・吟醸粕漬・西京味噌漬」
ごはんの上に乗せて、熱湯をかけてほぐすと煮こごりがとけ、上品なおいしさのだし入り茶漬けに。たっぷり入った大ぶりの海峡サーモンはふんわりとした食感で食べ応えも十分。お好みで三つ葉や大葉、わさびなど薬味をトッピングするのがおすすめです。
津軽海峡の地塩で漬け込んだ「海峡サーモン 熟成ほぐし身」
厳選した海峡サーモンを津軽海峡産無添加の地塩に漬け込み、低温で熟成。旨みたっぷりの切り身を焼いて、粗くほぐした、こだわりの商品。おにぎりの具やお茶漬けはもちろん、チャーハン、パスタなど、さまざまなメニューにお使いいただけます。
素材の旨みを堪能できる「海峡サーモン 水煮」
少量の塩のみで味付けした水煮の缶詰。しっとりやさしい舌触り、口の中に広がる海峡サーモンならではの旨みを堪能でき、食べ応えもばっちり!そのままでも十分に楽しめる一品に仕上げられています。
全国から寄せられる声をモチベーションに。
取材の終盤、濵田さんは海峡サーモンを食べた全国のお客さんから寄せられたメッセージを見せてくれました。そこには年齢や出身地を問わず、そのおいしさに対する驚きの声や感想が丁寧に記されていました。
「感想を伝えるために、わざわざハガキを送ってくれるリピーターの方が多くて、本当にうれしいですね。こういった商品を心待ちにしてくれている方々の期待に応えるためにも、これからも手を抜かずおいしい海峡サーモンを育てていきます」。
最後にこのページをご覧の皆さんへメッセージをお願いしました。「全国各地にさまざまなブランドのサーモンがありますが、ここまで厳しい環境の海で育てられているのは海峡サーモンだけだと思います。その分、身が締まり、脂の乗りも良くなります。そのサーモンをいい状態で提供できるよう、保管や加工、出荷などにも配慮していますので、ぜひ一度味わっていただけると幸いです」。
▼魚ポチ商品掲載ページ
だし入り茶漬け(熟成塩漬) 海峡サーモン
だし入り茶漬け(吟醸粕漬) 海峡サーモン
海峡サーモン 熟成ほぐし身(90g瓶)
海峡サーモン水煮(180g缶詰)
※欠品などにより掲載がない場合がございます。