福島第一原発の処理水放出以降、中国が日本産水産物を全面禁輸したことによって、輸出水産物の主力商品であったホタテは行き場を失い、多くのホタテ生産者が苦境に立たされました。
在庫となったホタテの大半は、水揚げ後そのまま冷凍をかけただけの殻つきホタテです。国内で大量に流通させるには片貝や貝柱などに加工する必要がありますが、水産業界は人手不足が続き、加工作業が追いつきません。しかし次の水揚げシーズンまで在庫が残れば、ホタテの価格暴落を招きかねない状況でした。
北海道産ホタテのベトナム加工を目指してプロジェクトチーム立ち上げ
魚ポチでは殻つきホタテの在庫を消費するために何ができるかと考え、「海外でスピーディーに加工して国内で販売する」道を探ることにしました。日本よりも人件費が安く、大規模な水産加工工場があるベトナムで加工ができれば、往復の輸送費がかかったとしても、国内加工と同等の価格で流通させることができるのではないか。またベトナムではHACCP認証(国際的な基準の食品衛生管理手法)を取得している工場も多いため、ゆくゆくは欧米への輸出も期待できます。
そこで在庫を抱えている北海道の水産卸や輸出ルートを持っている水産商社、加工したホタテを大量に販売できる食品メーカー、ホタテ生産者への補償に動き出した東京電力などに声をかけ、ホタテ応援プロジェクトチームを結成。まずは海上コンテナ1本分の殻つきホタテ約23トン(約23万枚)をベトナムの水産加工工場へ送りました。
加工といっても、ただ殻をむけばいいというだけではありません。プロジェクトメンバーもベトナム入りして作業に立ち会い、ホタテの加工についてノウハウを持ち寄って、サイズ規格や不純物の除去の仕方、どんな商品に仕上げるかを話し合いました。
加工前の殻つきホタテと、片貝や貝柱開きに加工したホタテ
ベトナム工場加工チームの方々。加工工程の改善アイディアを積極的に考えてくださり、生産性が向上しました
ひとつの工場に1000人近い従業員が働くベトナムでは、コンテナ1本分のホタテの加工には数日あれば充分。そこから船便で3週間ほどかけて日本へ運び、通関手続きを経て国内での販売が可能となります。
今回製造した商品は、貝柱、貝柱開き、片貝、貝ヒモの4種類
12月にベトナムへ送ったホタテが、1月の加工ライン立ち上げを経て、2月中旬には東京の倉庫へ到着!
ここからは販売フェーズ!魚ポチの出番です
こうして処理水放出から約半年、「北海道産ベトナム加工ホタテ」の商品化に成功!すでに2本目のコンテナを送る段取りも進めています。
少数精鋭のプロジェクトチームだったからこそ、本当に困っていた「殻つきホタテ」をこれだけスピーディに動かすことができました。ベトナムで加工できる基盤が整ったので、ここからは販売フェーズ!魚ポチも力を発揮していきたいところです。
ホタテ応援プロジェクトの全体図
魚ポチではこのホタテの販売開始に合わせて、3月1日(金)〜14日(木)までの2週間『ホタテ応援フェア』を開催しています。ぜひお試しください!