カニ商品の選び方

まっぷたつ

いよいよ年末!このシーズン、人気の水産物といえばカニ。お客さまの喜ぶ顔を思い浮かべつつ、カニメニューを考えている飲食店さまも多いのではないでしょうか。しかし、カニってさまざまな商品があり、いったいどれを選べばいいの!?と感じたことはありませんか?そんな飲食店さまのお役に立ちたいと、魚ポチカニバイヤー直伝のカニ選びのイロハをお伝えいたします!

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本日の題目
・その一!活カニ・冷凍ガニ・ボイルガニの違い
・その二!カニの部位と名称
・その三!活用しようなんちゃって王道ガニ

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【その一!活カニ・冷凍ガニ・ボイルガニの違い】
カニはお届けする商品の状態によって「活」「冷凍」「ボイル」などの表記が加えられます(表1)。これにより、生きているかどうか、加熱や冷凍などの工程があったかどうかを把握することができます。これらの違いをよく知って、用途によって使い分けましょう!

表1 カニの状態と商品名

  生きている 凍っている 茹でられている
× ×
生(表記なし) × × ×
ボイル × ×
冷凍生 × ×
冷凍ボイル ×

 

■活カニってどんなカニ?

活カニとは、文字通り、活きているカニのこと。木くずやエアーポンプ(通称:ブクブク)をつけて、活きたままお届けしています。活のカニの良さは、カニそのまんまの美味しさを味わえることに尽きます!刺身にするもよし、ボイルしてゆで汁まで活用するもよし、蒸して旨味を閉じ込めるのもよし!動いている姿を見せれば、お客さんも喜ぶこと間違いなしです!

表2 活と活でないカニの違い

特徴
★活きている!
★インパクトがすごい!
★生食可
☆価格が高いものが多い
活でない ★活に比べ安価なことが多い
☆生食の可否は商品による

 

■冷凍カニってどんなカニ?

生の魅力はカニ本来の食感や旨みが楽しめること、冷凍の魅力は保存期間が長く価格も安いこと。冷凍すると、カニの細胞の水分が膨張して氷の結晶になり、カニらしい繊維感が損なわれてしまったり、解凍時に旨みが流れ出てしまったりするのです。しかし、最近では、大きな氷の結晶ができやすい温度帯をなるべく短くする「急速冷凍」の技術も確立されており、食感の変化や旨みの流出はかなり抑えられています!また、冷凍品は輸入前に製品を検品して選別することが多いので、身入りが安定している商品が多いのも魅力です。どこまでカニ本来の味わいを求めるのか、いつお使いになるのか、ご予算はおいくらか等を軸にカニを選んでみてくださいね。

表3 冷凍でないカニと冷凍カニの違い

  特徴
冷凍せず ★カニらしい繊維質の食感!
★歩留まりがいい!
★旨味の流出が少ない!
☆保存期間は比較的短い
☆価格が比較的高いものが多い
冷凍 ★保存可能期間が長い!
★比較的安価!
★身入りが安定している商品が多い
☆食感が変わる場合もある
☆旨味が流出してしまう
☆商品によって味や食感に差がある

 

■ボイルのカニってどんなカニ?

ボイルしていない生のカニは、調理時間はかかるものの、ゆでてゆで汁まで活用したり、蒸して旨みをギュッと閉じ込めたりできるのが魅力です。しゃぶしゃぶなど、生だからこそできる料理もありますよね。一方、ボイル(=茹でる)済のカニはなんといってもそのままサッと料理に使えるのが魅力です!サラダや焼き料理などにもおすすめ。どのようなお料理にお使いになるか想像しながら、生かボイルか、選んでみてくださいね。

表4 ボイルしないカニとボイルカニの違い

  特徴
ボイルせず ★茹でればゆで汁が使える!
★蒸せば旨味を逃がさない!
☆調理時間がかかる
ボイル ★調理時間がかからない!
☆旨味が多少流出する

 

【その二!カニの部位と名称】

カタカナの多いカニの商品名、実はカニの部位ごとに名称がつけられています。今回は、カニバイヤー手書きの資料を参照しながら、カニの部位と名称をご紹介!

カニ1

切ったり割ったりしていない、生まれたままの姿を「丸」「姿」といい、この甲羅をとってまっぷたつに割ったものを「セクション」「一肩」といいます。

セクションは爪を含む脚・その他の脚・肩の3種類のパーツに分かれます。

 

爪がついた脚は、「爪下棒」、「ボンボリ」、「爪」の3つのパーツで構成されています。

 

爪下棒とボンボリの、ボンボリ側の殻を格好よくちょいと残し、あとの部分をつるんと剥いたのが「爪下棒ポーション」。爪の部分を全て向いたのが「爪玉」、爪先を2本残したのが「2本爪ポーション」、爪先を1本残したのが「1本爪ポーション」になります。

 

他の腕は、「棒」「ラッキョ」「南蛮」「爪先」の4つのパーツで構成されています。

 

棒とラッキョの、ラッキョ側をこれまた格好よくちょいと残し、あとの部分をつるんと剥いたのが「棒ポーション」、棒の部分の半面の殻を残したのが「棒ハーフポーション」、殻をすべて剥きとったのが「棒肉」となります。

 

残ったパーツは、足の生え際、「肩」のみとなります。

 

他の商品としては、殻がついた爪にスリットを入れて手で剥きやすくした「殻付き爪スリット」

タラバガニのみですが、おなかの固い部分の裏の肉を製品にした「ふんどし」などがございます。

この繁忙期シーズンの売れ筋部位は「棒ポーション」。鍋やしゃぶしゃぶでご提供するのにおススメです。ちなみに「棒ポーションB」という隠れ人気商品があるのですが、ちょっと関節が欠けてしまってる訳アリのカニ脚です。見た目は欠けていますが、美味しさはそのままなので、身だけを使うお料理にはこちらがおすすめです。安価にカニの身を仕入れたい!というお店向けの救世主商品!

 

【その三:活用しようなんちゃって王道ガニ】

さいごに。リーズナブルに良いカニを仕入れたい!という飲食店さまに、究極の裏技!?なんちゃって王道ガニで代用するのもアリです!種類は違えど、味は劣らずのカニさんたちをまとめて一気にご紹介します!

■タラバガニのかわりに!

魚種名 別称 活/冷凍 加工品 主な産地 バイヤーコメント
アブラガニ Blue King Crab 両方 北海道,ロシア タラバより全体的にトゲが少なくツルツル。名前で嫌煙されがちだが、良品の味は遜色なし。
ミナミタラバガニ 両方 チリ,アルゼンチン 茹でたあとの殻色がタラバより薄く白い部分が目立つ。良品の味は遜色なし。
チリイバラガニ セントージャ 冷凍 チリ タラバよりトゲトゲしている。身入りがいいときはトゲの一本一本までぎっしり。
ミルキークラブ 冷凍 チリ タラバより殻色薄い。濃厚なうまみ。
ハナサキガニ コンブガニ 冷凍 根室、花咲 タラバよりトゲが多く、身入りが不安定ですが、場所によってとてもおいしい。

 

■ズワイガニのかわりに!

魚種名 別称 活/冷凍 加工品 主な産地 バイヤーコメント
トゲズワイガニ 冷凍 ロシア,ノルウェー 殻色がやや薄赤い。味はズワイとほぼ遜色なしだが、やや水気あり。
ベニズワイガニ 両方 韓国,日本海,ロシア,北海道 茹でられる前から赤い。やや水気あり。

 

■毛ガニのかわりに!

魚種名 別称 活/冷凍 加工品 主な産地 バイヤーコメント
ケガニ 両方 北海道,青森,東北,ロシア ケガニには劣るが、安いので代品で人気。ミソ入り、旨味ともに少な目。青森では花見で食べる。

 

■その他のマイナーカニ

魚種名 別称 活/冷凍 加工品 主な産地 バイヤーコメント
オオズワイガニ(バルダイ) 冷凍 アラスカ 身肉の繊維感がやや太く食べ応えある。ズワイより旨味がやや強い
タカアシガニ 駿河湾 世界最大の節足動物。身入りにばらつきあるが、姿のインパクトは抜群。
ワタリガニ 両方 中国,ミャンマー 良いダシが出るため、パスタ用に好まれる。メスは内子やミソ、オスは身がうまい。
ノコギリガザミ マングローブクラブ,(ソフトシェル) 冷凍? ミャンマー,バングラディッシュ ソフトシェルクラブとして出回るのは、ほぼこれが脱皮した直後のもの。
モクズガニ 日本 旨味あり。上海ガニの代用で蒸したりする。ただ生息域によって味薄かったり泥っぽいので注意
ダンジネスクラブ 冷凍 アメリカ アメリカ西海岸で大人気。旨味うすい。食べ応えと見た目のインパクト重視。バターにつけて食べる。
ストーンクラブ 冷凍 チリ 大型の爪は欧米で評価高い。身の旨味うすめで少しどろっけあるが悪くはない
サワガニ 九州など 唐揚げにして食べる、かわいい。

 

 

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